公開日:2020.10.08
更新日:2025.03.24
自由でやりがいのある労働形態というイメージを持つフリーランスですが、会社員の働き方と比較すると、実は得することばかりではないことがわかります。
会社員からフリーランスになることで、逆に損をするケースも決して珍しくないのです。
こちらではフリーランスならではの「損」と「得」に注目し、会社員との違いを確認します。
これからフリーランスへの転身を考えているのなら、実際になったときのことを想定してどんな損得があるのかを把握しておきましょう。
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<目次>
1.フリーランスって損なの?得なの?
フリーランスと会社員の収入面における損や得
フリーランスと会社員の働き方における損や得
フリーランスと会社員の福利厚生面における損や得
フリーランスと会社員の税金面における損や得
2.フリーランス市場の現状
3.フリーランス市場の今後の変化とは?
社会全体のITインフラ底上げ
会社の在り方の変化
多様な働き方へのシフト
4.フリーランスと会社員、どっちが損で得だと思いますか?
5.まとめ
フリーランスと会社員の違いは収入、働き方、福利厚生、税金などさまざまな面に見られます。
これらの違いを知らずにフリーランスになると、イメージ通りに働くことが難しくなるかもしれません。
以下では4つのポイントからフリーランスと会社員の比較を行い、それぞれの損と得について確認します。
フリーランスは毎月決まった金額が給与としてもらえるわけではなく、賞与による定期的な収入もありません。
そういった安定性のなさは、会社員と比べて収入面における損になります。
また、フリーランスは条件の良いクライアントや仕事(案件)に出会えるばかりではないため、ときには報酬が低い仕事(案件)を行うこともあります。
仕事(案件)が途中で打ち切りになることもあるため、想定していた収入よりも低い水準から抜け出せなくなることも考えられるのです。
他にも会社員のように有給休暇を取得することができないため、収入を確保しつつ休むということができません。
そのため「急な風邪で体が動かない」「思わぬ怪我をして満足のいく作業量が確保できない」「予定外の冠婚葬祭で出かけなければならない」といった想定外の事態で休む必要が出た場合には、そのまま収入が減少することになってしまうのです。
フリーランス協会が公表している「フリーランス白書2021」によると、64.2%のフリーランスが収入がなかなか安定しないことを課題としています。
フリーランス白書2019年の調査では収入面を課題として挙げている割合は55.1%ですので、約9%増加しています。
働き方や契約の内容によっては、会社員時代よりも収入面で損をすることも珍しくないのです。
一方で、フリーランスの収入は出来高で決まるため、仕事(案件)の獲得数を増やしてスキルをアップさせていければ、会社員時代よりも多くの収入を目指すことも可能です。
会社員の場合、努力をして実績を積んでも、それが賞与や出世といった形になって収入面に反映されるまで時間がかかります。
自分の努力が収入に直結していく点は、フリーランスならではの得になるでしょう。
フリーランスは、基本的に自分自身で仕事(案件)を見つけ、単価の交渉や請求書の提示まで行わなければなりません。
会社員のように会社から指示や方針を与えられるわけではないので、業務をするために多くのプロセスが必要となるのです。
そのため会社員と比べると、働くまでの作業量の点では損をすることになります。
フリーランスは会社員と比べて突然の仕事(案件)が入ることも多いため、休日が取りづらい点も損に挙げられます。
つい無理をして仕事を続けてしまい、体調を崩してしまうリスクも考えられるでしょう。
さらにフリーランスは仕事中に病気や怪我をしても、労災による補償が受けられません。
自分で治療費を支払う必要があり、休んだ分の報酬を休業補償でカバーすることもできないという点で損をしてしまいます。
しかし、フリーランスの働き方には多くの自由があるため、自分らしいスタイルで働きやすいという魅力があります。
無理な残業をする必要はなく、自分のためにならないと感じる業務は避けることも可能です。
自分の働きたい場所や時間で仕事をすることもできるので、ストレスの減少や生産性の向上を意識した働き方を実践することもできます。
このような自由度の高さは、会社員にはないフリーランスの働き方による得になります。
フリーランスは会社員のように「法定福利」による制度を受けることができないため、福利厚生面においても損をすることが多くなります。
国民年金、国民健康保険などは全て自分で支払う必要があり、雇用保険や労働者災害補償保険などの社会保険を会社から提供されることはありません。
会社員のように厚生年金、健康保険を会社が半分負担してくれることはないことから、金銭的な部分でも損を感じやすくなるでしょう。
さらに、フリーランスは会社が自主的に行う「法定外福利」を利用することもできません。
会社員は務めている会社が独自に行なっている福利厚生制度を利用して、さまざまな恩恵を得られます。
たとえばスキルアップ支援、リフレッシュ休暇、傷病手当金、出産手当金、育児休業給付、介護休業給付などが、会社員をしていると利用できるケースがあります。
最近は外部のサービスからプランを選べる「カフェテリアプラン」という福利厚生も広まっているため、会社員が福利厚生の面で得をする機会は多くなっているのです。
このような損への対処として、フリーランスは自主的に健康保険に加入したり、フリーランス専用の補償プランを利用したりといったことが考えられます。
万が一の怪我や病気への備えや、損害賠償請求などによる企業とのトラブルを見越して、関連する保険や補償サービスをチェックしておくことがおすすめです。
フリーランスとして働く場合、以下のような税金を支払う必要があります。
・所得税
・消費税(売上が1,000万円以上の場合)
・住民税
・国民健康保険税
・個人事業税(年収290万円以上の場合)
フリーランスは自分で確定申告を行なって納税をする必要がありますが、会社員は基本的に会社が税金の支払いを代行してくれます。
そのため税金についての知識を身につけたり、月々の収支を自分で管理したりといった手間が求められるので、会社員時代と比べて時間的な損をすることになるでしょう。
確定申告に慣れないうちは毎年の作業が負担になりやすく、ミスなどがあれば追加徴税などの可能性も考えられます。
税金の支払いに対して責任のある立場になることも、フリーランスの損に数えられるのです。
一方で、フリーランスは事業に必要な経費を計上することで、節税を行うことができます。
たとえば働く場所を自宅件事務所とすれば、仕事に使っている分の家賃や電気代なども経費にできるため、節税を簡単に実行できるのです。
さらに確定申告で「青色申告」を選択することで、最高65万円の特別控除と、3年間の赤字繰越しも可能となります。
他にも「小規模企業共済」の掛け金やふるさと納税の寄附(払った金額から2,000円を引いたもの)も、所得控除にすること節税が可能です。
さまざまな方法で節税が行えて、かつそれについて真剣に考える機会が持てることは、フリーランスの得になるでしょう。
フリーランスの損得について考える際には、その市場の現状を把握することも重要です。
近年のフリーランス市場は毎年さまざまな変化を遂げていて、多くの人の関心を引くものになっています。
「フリーランス実態調査(2021年度)」によると、日本における広義のフリーランス人口は1,670万人となっています。
これは労働人口の24%が、フリーランスとして働いている計算になるのです。
2018年と比べると約500万人増加していることから、市場の拡大が確認されています。
一方で、アメリカでは2019年のフリーランス人口が5,700万人、5年前と比べて400万人増加しています。
全人口の約35%が、広義の意味でのフリーランスとして働いているのです。
そのため日本におけるフリーランス市場の現場は、まだまだ発展の可能性があると考えられるでしょう。
同調査の経済規模の推移によると、日本のフリーランス市場は2018年と2019年に20兆円超えを記録しています。
2020年の経済規模は減少していますが、働き方によっては増加も見られるため、コロナによってどのような影響が出るのか注目されています。
こういったデータから、フリーランス市場の現状は拡大傾向にあると想定することができます。
つまり、フリーランスとして働く人の需要も、高まっていると考えられるでしょう。
同調査によると、1年以内にフリーランスを開始した人数も増加していて、2020年には前年から8%増加した312万人となっています。
会社員ではなくフリーランスとして働く選択をすることは、既に珍しいパターンではなくなっているのです。
フリーランスの人口についてより詳しく知りたい方は下記記事をご一読ください↓
フリーランス市場は、今後さまざまな要因によって変化していくと予想できます。
以下のようなポイントを参考に、フリーランス市場がどう変わっていくのか考えてみましょう。
今後フリーランス市場は、社会全体のITインフラの底上げに影響され、さらなる拡大につながる可能性があります。
職場におけるIT環境が当たり前になることで、事業に役立つツールやサービスの導入がさらに進められるでしょう。
そこには連絡ツールや支払いサービスによる業務の簡略化、クラウドによる手軽な電子契約なども含まれるため、企業にとって外部の人間とのやりとりが特別なことでなくなります。
つまりフリーランスなどの個人に仕事を依頼するケースは、ITインフラの底上げによっても増えていくと考えられるのです。
2004年に提唱された「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や、2006年頃に始まった第三次AI(人工知能)ブームなどを背景に進められてきたITインフラの底上げによって、仕事に必要なネット環境やセキュリティシステムは、自宅やコワーキングスペースなどでも整っております。
それによってフリーランスは、いつでもどこでも仕事ができるようになったのです。
今後はそれに加えて、企業側がフリーランスなどの個人とコミュニケーションしやすい環境を、ITインフラの上に整えるようになると考えられます。
それはフリーランスなどの個人と企業が協力して仕事をする機会を増やし、結果的にフリーランスの働き方に得をもたらすことにもなるでしょう。
会社の在り方も、非正規雇用の増加や副業の容認などによって変化しています。
企業は正社員として従業員を会社に所属させることが当たり前ではなくなり、雇用関係に執着しない流れが進んでいるのです。
経済産業省の「労働市場の構造変化の現状と課題について(平成31年4月)」には、5割を超える企業が個人事業主やフリーランスを活用している、もしくは活用を検討しているというデータがあります。
また、業種別において情報・通信業は6割以上の企業がフリーランスを活用している、もしくは活用を検討しているとの結果が出ています。
そのためフリーランスは今後、企業を支える人材としてより定着することが考えられるでしょう。
それは市場規模の拡大につながり、単価の上昇や安定した雇用といったフリーランスの得につながっていくと考えられるのです。
フリーランス市場は、多様な働き方にシフトし始めている労働者の意識によって、さらに変化する可能性があります。
内閣官房日本経済再生総合事務局の「フリーランス実態調査結果」によると、フリーランスという働き方を選択した理由は「自分の仕事のスタイルで働きたいため」が57.8%で最も多く、次いで「働く時間や場所を自由にするため」が39.7%でした。
労働者は、より自由で働きやすい環境を求めて、フリーランスになることが多いのです。
先に紹介したITインフラの底上げや会社の在り方の変化によって、企業側はそういったフリーランスなど労働者の意識に対応する準備ができ始めています。
自由に働きたい人の意思を尊重し、ITシステムによって効率的に管理できる環境が企業に根づききつつあるので、多様な働き方は今後も認められていく可能性が高いのです。
このように企業の体制とフリーランスなど労働者の意識が噛み合ってきていることからも、今後はフリーランス市場がより大きく拡大していくと予想できるでしょう。
フリーランスと会社員の働き方には、それぞれに損する点と得する点があります。
フリーランスとして働いている人を見ると、自由な労働スタイルなどから得をしていることが多いように見えるかもしれません。
しかし、安定した生活の難しさや福利厚生の有無などの面で、多くの損を経験することもあるのです。
そのため、会社員からフリーランスになる際には、事前に損得に関する知識を身につけておくことが大切になります。
会社員にあってフリーランスにないものは何なのか、それは自分にとってどれくらい重要なものなのか、その損を埋めるためにはどのような対処法が考えられるのか。
そういったことを考えておけば、フリーランスとして納得のいく働き方を実現することができます。
会社員からフリーランスになっても後悔しないように、それぞれの損得について考えて自分にとって最適な道を選択できるようにしていきましょう。
フリーランスになれば、得するばかりではなく損をすることも増えます。
その損する部分をいかにして克服できるかが、フリーランスとして働くコツにもなるでしょう。
この機会にフリーランスと会社員の違いから、フリーランスならではの損得を確認してみることがおすすめです。
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本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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