2023.05.26
確定申告とは、1年間の収入から経費などを差し引いて所得を計算し、そこから納税額を算出して国(税務署)に報告する一連の手続きのことです。
フリーランスの方は基本的に所得税の確定申告が必要です。
会社員、アルバイト・パートの方は、基本的には年末調整で会社が所得税額を計算しますが、
ご自身で確定申告をしなければならないケースもあります。
しかし、今まで確定申告をしたことがない方は、「確定申告のやり方が全く分からない」「そもそも確定申告が必要なのかどうか全く分からない」など、戸惑うことも少なくないのではないでしょうか?
そこでこの記事では、確定申告が必要な方の条件や手続き方法など、わかりやすく解説します。是非ご参考にしてください。
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<目次>
1.確定申告とは所得税の額を確定するための手続き
所得税の確定申告をする理由
所得と収入の違い
所得の種類
所得控除の種類
2.確定申告と年末調整の違い
3.確定申告をしなければならない人って?
事業所得が48万円以上のフリーランス
給与所得が2,000万円以上の人
アルバイトなどで2箇所以上から給与を受け、すべての給与が源泉徴収されている場合かつ年末調整されていない給与の収入金額と他の所得の合計金額が20万円を超える人
給与を1箇所から受けているかつ給与所得以外で20万円超の所得がある人
公的年金の収入が400万円以上の人
4.確定申告をする必要がない人は?
(1)サラリーマン
(2)サラリーマン以外
5.確定申告をするメリットは?
事業損失を3年先まで繰り越せる
医療費控除の適用を受けられる
寄附金控除の適用を受けられる
6.確定申告期間
7.確定申告の流れ
(1)確定申告に必要なものの準備
(1)-a 必要な場合は提出する書類
(2)確定申告書を作成する
(3)確定申告書の提出
(4)税金の納付または還付
8.確定申告に関連した罰則はあるのか?
確定申告をする義務がある人が確定申告をしないと罰則がある
納税義務がない場合は控除を受けることはできない
9.まとめ
フリーランスの方の所得税は、毎年1月1日から12月31日までの合計所得を算出し、通常、翌年の2月16日から3月15日の間に税務署に申告・納付します。
納税は国民の義務であり、仕事などで一定額以上の所得を得た人は、所得税を納めなければなりません。
所得税を含む国税の金額は、納税者自身が税務署に確定申告することで決定され、決められた金額を納めることになります。
一方で、源泉徴収で納税額以上の税金を既に納めている場合は、確定申告をすることで払い過ぎた税金の還付を受けることができます。
個人に課される税金の一つである住民税は、確定申告書をもとに自治体が算出します。
なおサラリーマンの場合、所得税は毎月の給与から源泉徴収され、会社が本人に代わって納付します。
そのため一部を除き確定申告をする必要はなく、会社が所得税の過不足を補う年末調整を行います。
確定申告を行うためには、「所得」と「収入」の違いを理解する必要があります。
「収入」とは、売上や給料など、1年間に稼いだすべてのお金のことです。
そして、収入から仕入れや経費の金額を差し引いたものが「所得」となります。
また、取得から所得控除などの各種控除を差し引いた金額を「課税所得」と呼びます。所得税はこの課税所得をもとに計算されます。
所得税の控除は、後述しますが、社会保険料控除・生命保険料控除・配偶者控除・基礎控除など15種類あります。
このほか、課税所得をもとに計算した所得税額から直接差し引くことができる税額控除があります。
所得は発生形態などによって下記の10種類に分類されます。
例えば、企業の社員やフリーターが会社から受け取る給料・賃金は「給与所得」、フリーランスなどの売上は「事業所得」に分類されます。
・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・事業所得
・給与所得
・退職所得
・山林所得
・譲渡所得
・一時所得
・雑所得
所得税の所得控除は次の15種類です。
・雑損控除
・医療費控除(セルフメディケーション税制)
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寄附金控除
・障害者控除
・寡婦控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・基礎控除
確定申告と年末調整の最大の違いは、確定申告は本人が申告するのに対して、年末調整は会社が本人に代わって実施することです。
会社にお勤めの方は、毎年年末に年末調整があり、確定申告をしたことがない方がほとんどだと思います。
これは、会社が本人に代わって年末調整を実施し、毎月の源泉徴収税額やその年の所得税額を調整するためです。
フリーランスの方以外にも、確定申告が必要になる方がいます。
この章では、誰が確定申告をしなければならないのか、当てはまる人を解説します。
1つ目は事業所得が48万円以上のフリーランスの方です。
確定申告をする人は、48万円までの基礎控除が受けられます。
1年間に得た収入から必要経費を差し引いた事業所得が48万円を超える人は、所得税を納める必要があります。
そのため、確定申告をして所得税を計算し、納付する必要があります。
2つ目は給与所得が2,000万円以上の人です。
毎月の給料やボーナスなどを合わせて、年間の給与所得が2,000万円以上の人は、自分で確定申告をする必要があります。
3つ目はアルバイトなどで2箇所以上から給与を受け取っている人、さらに年末調整されていない給与の収入金額と他の種類の所得の合計金額が20万円を超える人です。
2箇所以上から給与を受け取っている場合、一番給与額が多い勤務先以外の勤務先は年末調整を実施しないケースが多いです。
4つ目は、給与を1箇所から受けている、さらに副業などで給与所得以外の所得が20万円超ある人です。
投資などの所得も合わせて20万超なら確定申告が必要です。
5つ目は、公的年金の所得が400万円以上の方です。
以上が確定申告をしなければならない主なパターンですが、上記の要件に該当しない場合でも、社会保険料をご自身で支払っている場合は、確定申告をすることで控除を受けることが可能です。
この章では確定申告をする必要のない人の主なパターンを説明します。
・給与を1か所からしか受け取らず、「年末調整」が終了している場合
サラリーマンの場合、年末に会社が「年末調整」を行います。勤めている会社以外の給与所得がない場合は、年末調整で所得税の計算が完了します。
そのため、所得税の確定申告は必要ありません。
以下2つに当てはまる人も確定申告は不要です。
・2箇所以上から給与所得を得ている場合で、主たる給与所得について年末調整を行い、従たる給与所得と他の種類の所得の合計金額が20万円以下である場合
・給与を1か所からしか受け取らず、かつ、事業所得・不動産所得・譲渡所得などの他の所得の合計額が20万円以下の場合
・フリーランスの方が得た事業所得とそれ以外の種類の所得の合計額が所得控除の金額以下である場合
・400万円以下の公的年金等の受給者で、他に所得がなく、公的年金等の全額が源泉徴収の対象となる場合
一つ目のメリットは、事業損失が次の3年間に繰り越せることです。
ただし、後述する青色申告にのみ適用され、白色申告には適用されません。
事業が黒字であれば節税することができます。
事業の利益が高ければ高いほど、それに比例して税金も高くなります。
しかし、年間利益が赤字の状態で確定申告をすることで、この赤字分を向こう3年間の所得から差し引くことができるため、支払うべき税金も少なくなり、節税になります。
2つ目のメリットは、医療費控除ができることです。
その年の1月1日から12月31日までの間に、自分自身・配偶者・同居の親族のために医療費を支払った場合、支払った医療費が一定額を超えると、その医療費に応じて所得税の控除が受けられるという制度です。
その年にかかった医療費が10万円(総所得金額200万円未満の人は総所得金額の5%)を超えた場合に控除されます。
医療費控除の上限は200万円です。
3つ目のメリットは、納税者が寄附金控除を受けられることです。
納税者は、国・地方自治体・特定公益増進法人に対して、公共の利益を増進するために特定寄附金」を支出した場合、所得控除を受けることができます。
これを寄附金控除といいます。寄附金控除でよく知られているのは「ふるさと納税」です。
寄附金控除は、寄附をしたときに自動的に控除されるわけではありません。
領収書や受領証明書などの書類を用意し、確定申告をする必要があります。
確定申告が必要な方とそうでない方では確定申告ができる期間が異なります。
・確定申告をする義務がある人
納付申告の場合:毎年2月16日から3月15日までの間
例えば、確定申告が必要なフリーランスの方は、この1ヶ月の期間内に確定申告をする必要があります。
還付申告の場合:翌年の1月1日から5年間
・確定申告義務のない人
対象となる年の翌年の1月1日から5年間
一方、税金の還付を受けたい場合は、5年間さかのぼって確定申告をすることが可能です。
・確定申告書
2022年の確定申告から、確定申告の様式は1種類になりました。
今後はすべての確定申告が「確定申告書」で行われることになります。
一般的に、確定申告書は第一表と第二表の2枚を提出します。
第二表に記載しきれない場合は、所得の内訳書に記載し、それを添付することで対応することができます。
なお、年によって様式の変更が想定されるため、新様式を使用してください。
・収支内訳書/青色申告決算書
事業所得や不動産所得がある場合はこれらが必要です。
日本の所得税は申告・納付制度が採用されています。
一定水準の会計を維持し、正しく申告した人には、所得計算などに関して優遇措置が与えられる「青色申告制度」があります。
事業所得や不動産所得で青色申告をする場合、「青色申告決算書」という書類を作成し、提出する必要があります。
一方、青色申告とは基準が異なるが、事業所得などの計算を適切に申告することを「白色申告」といい、この場合は「収支内訳書」を作成し、添付する必要があります。
・マイナンバーカード、または、マイナンバーが記載された住民票の写し
必ずしもマイナンバーカードを使って確定申告をする必要はありませんが、マイナンバーが確認出来るものは準備しておいた方がよいでしょう。
また、扶養控除や配偶者控除を適用するには、その家族のマイナンバーを記載する必要があるので、準備しておくとよいでしょう。
マイナンバーを調べるには、マイナンバーカードが記載されている住民票も有効です。
マイナンバーカードをお持ちの方は、電子申告(e-Tax)も可能です。
マイナンバーカードをICカードリーダーで読み取るだけでなく、マイナンバーカードを経由して、スマートフォンでe-Taxを送信することも可能です。
・領収書・帳簿
収支内訳書・青色申告決算書は、1年間の収支をまとめたものなので、その年が終了していない場合は記入を避けましょう。
まず、請求書・領収書・伝票・通帳などの取引の証拠となるものを集めましょう。
各取引を帳簿に記入し、帳簿からの合計を記録します。
収支内訳書や青色申告決算書で、支払い先の住所など詳細を聞かれることがあるので、領収書や帳簿を手元に置いておくと参考になります。
・口座情報
確定申告をする場合は、金融機関の口座情報(銀行名・支店名・預金の種類・口座番号など)が必要です。
通帳などを用意しておきましょう。オンライン銀行の中には、税金の還付申告を処理できないところもありますので、よく確認してください。
また、日本のゆうちょ銀行や郵便局で還付金を受け取ることもできます。
この場合、還付金の受け取りを希望する郵便局名を明記してください。
ただし、銀行振込に比べ、還付金の受け取りまでに時間がかかります。
・事業所得や不動産所得がある場合
固定資産は事業所得や不動産所得を得るために利用されることが多いものです。
そのため確定申告に固定資産台帳が必要です。
固定資産は購入・使用・廃棄・売却まですべて管理しなければならず、一定額に達すると「償却資産税」という地方税を納める必要があります。
また、固定資産の減価償却費は収支内訳書・青色決算申告書に記載する必要があります。
過去に提出した確定申告書のコピーを用意しておくと便利です。参考にするために手元に置いておくとよいでしょう。
・給与所得がある場合
給与所得がある場合は源泉徴収票が必要です。
源泉徴収票をもらっていない場合は、勤め先の会社で発行してもらいましょう。
2か所で働いている場合は、源泉徴収票が2枚必要です。
源泉徴収票を確定申告書に添付する必要はありませんが、収入や所得の金額を明らかにするために必要です。
・医療費控除を受けたい場合
医療費控除には、従来の医療費控除と「セルフメディケーション税制」の2種類があり、どちらか一方を申請することができます。
従来の医療費控除は、自分または同居の配偶者・親族が、その年に一定額以上の医療費を支払った場合に請求できます。
医療費控除の適用を受けるには、「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付する必要があります。
この場合、医療費の領収書の提出は不要ですが、自宅での保管は5年間必要です。
収集した情報をもとに、確定申告書を完成させます。
例えば、不動産所得の確定申告をする場合、まず確定申告書の「第二表」に、不動産所得の収支計算書の結果を記入します。
次に、「第二表」の合計を「第一表」に転記する、といった具合に行います。
最後に氏名や住所など税額を計算するための基本情報を書き込んで完了です。
確定申告の作成には大きく分けて、「自分で作成する」・「税理士に依頼する」の2つの方法があります。
自分で確定申告書を作成する場合は、手書きで作成するか・freeeなど確定申告書作成ソフトを使用することになります。
税理士などの専門家にの作成を依頼する場合は手数料を支払う必要があります。
確定申告ソフトをお持ちでない方でも、国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」を利用して作成することができます。
また、作成内容に疑問がある場合は、税務署にて直接相談するか、電話で国税局電話相談センターなどを利用することができます。
手書きで申告書を作成し、計算の結果、税金が還付申告となった場合は、申告書に還付金の振込先口座を忘れずに記入しましょう。
万が一、還付金の振込先口座を記入し忘れた場合は、税務署から連絡が入ることが想定されますが、その場合は還付が遅れる可能性があります。
・税務署窓口への持参
最も基本的な方法は、税務署に書類を持参することです。
サラリーマンの場合などで税務署が遠方であったりする上、確定申告時期に混雑が予想されるので難しいケースもあるでしょう。
簡単な手続に関して職員に確認した後、提出できるというメリットがあります。
・信書
郵便局での提出や郵便ポストに投函することも方法の一つです。
注意しなければならないのは、宅配便は信書にはならないということです。
書留や簡易書留で送ると良いでしょう。
同じ郵便局から送る場合でも、ゆうパック(宅配便)やゆうメールは信書ではありませんが、レターパックは信書ですので、安心して送ることができます。
・e-Taxによる電子申告
電子申告は税務署が推奨する方法です。電子申告は土日祝日を含む24時間(メンテナンス時間を除く)利用できるため、特に確定申告期間中に忙しい方にも便利です。
初めて電子申告を利用する場合、まず開始届出書を提出すると、利用者識別番号などが通知されします
・税務署の時間外収集箱
税務署には必ず「時間外回収ボックス」が設置されています。
営業時間外にしか税務署に持参できない場合は、このボックスで確定申告書を提出することが可能です。
これらのうち書面で提出する場合は、マイナンバーと本人確認書類(運転免許証など)を添付または提示する必要があります。
また、郵送または時間外収集箱に投函する際に、提出が受理されたことを示す日付印(受領印)を押した申告書の控えを希望する場合は、返信用封筒と申告書のコピーを同封してください。
計算の結果、納税が発生する場合は、納付書を使用して納税します。
現金納付の場合、納税期限は原則3月15日です。
納税資金の準備に余裕を持たせたい場合や、現金での納付が面倒な場合は、「振替納付」を利用すると便利です。
納付期限が来ると、提出した口座から自動的に所得税が引き落とされるので、納め忘れがありません。
また、口座引き落とし日は毎年4月末になることが多いので、現金で支払う場合に比べて1ヶ月以上納税を繰り延べすることができます。
フリーランスなどの納税義務者が確定申告をせず、納付期限を過ぎた場合、ペナルティとして「無申告加算税」や「延滞税」などの追徴課税が課されます。
また、これらのペナルティ以外にも、申告税額が少ない場合には「過少申告加算税」、悪意のある所得隠しや隠蔽が発覚した場合には「重加算税」などがあります。
納税義務がない場合、確定申告をしなくても特別なペナルティはありません。
ただし、税金の控除を受ける資格がある場合に確定申告をしないと、本来受けられるはずの還付金を受けられなくなるというデメリットがあります。
還付金は発生した年の翌年1月1日から5年間請求できますので、やはり後から請求するのが良いでしょう。
確定申告書の作成は、自分の所得を確認し、利用可能なすべての控除や税額控除を適用する必要があるため、大変に思われるかもしれません。
確定申告書は、一から記入することで税金が計算されるように設計されており、簡単に記入することができます。
この記事では、確定申告についてできるだけわかりやすく説明しましたが、それでも不明な点や疑問点が多々あるかもしれません。
その場合は、適切な確定申告を行うために、税理士を探して相談することができます。
税理士に相談すれば、自分が受けられる所得や税金の控除を見逃すことなく、迅速に確定申告書を作成できるほか、税務署からの問い合わせにも答えてもらえるというメリットがありますので、自分に適した方法を選びましょう。
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