公開日:2023.07.01
更新日:2025.03.24
近年、副業を許可する企業が増え、副業で収入を得る会社員も増えてきました。
副業をしている方や、これから副業を始めようと考えている方は、副業による収入について確定申告が必要なのかどうか迷っている方も多いのではないでしょうか。
副業で確定申告が必要かどうかは、副業で得た所得の額によって異なります。
また、副業の確定申告を検討する際には、収入と所得の違いも理解しておく必要があります。
この記事では、副業の確定申告が必要かどうかの判断基準や具体的な申告の手続きなどについて詳しく解説します。是非ご参考にしてください。
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<目次>
1.副業とは?
2,副業による収入でも確定申告が必要
副業による所得の所得税計算をする前に知っておきたい「所得」と「収入」の違い
日本の税制は「申告納税制度」
副業の規模によっては、確定申告の義務がある
20万円ルールの落とし穴
3.副業をしている会社員が確定申告をする場合とは
副業が給与所得である場合
副業による所得が事業所得や雑所得である場合
副業が不動産所得の場合
4.会社員の副業の所得を雑所得として申告する方法
5.副業の確定申告が不要な場面
6.青色申告と白色申告の違いについて
「青色申告」は複雑な記帳が必要だが、明らかな利点がある
「白色申告」なら簡素
7.確定申告書作成から納税までの流れ
a.確定申告に必要な書類・データの準備
b.必要な添付書類の作成
c.確定申告書と必要な添付書類の提出
d.所得税の還付・納付
8.確定申告の期限を過ぎてた場合は?
9.副業についての確定申告の注意点
帳簿や領収書などは、通常7年間保管する必要がある
フリマで得た利益でも確定申告が必要な場合がある
確定申告をすると会社に副業がわかる
10.まとめ
副業とは、一般的に本業以外で行う仕事のことで、本業以外で得た収入はすべて副業による収入となります。
アルバイトやパートなどのように会社に雇われて行う仕事、自営業、業務委託の仕事を請け負うことなどが副業に該当します。
なお、「副業」は法律用語ではなく、法的な定義もありません。
企業によっては『副業禁止』としている場合もありますが、これは法律に基づくものではなく、企業独自の就業規則に基づくものです。
働き方の変化もあり、最近では「副業」を可とする企業が増えています。
その結果、会社に勤めながら副業で収入を得る人が増えています。
しかし、問題は副業の所得の税務申告です。
確定申告とは、1年間の所得を計算して税務署に申告し、納税することです。
副業で得た所得であっても、基本的には確定申告をする必要があるはずですが、実際にはどうなのでしょうか。
所得税を計算する場合、「所得」と「収入」の違いを理解することが重要です。
収入とは売上高そのものなどのことを指します。
給与の場合は、所得税・住民税・社会保険料などが差し引かれる前の金額のことを指します。
一方、所得とは、収入から支出を差し引いた金額のことです。
会社員の副業の場合、副業で収入を得るために必要なパソコン代・交通費・消耗品代などが支出となります。
所得税は、個人が1年間(1月1日から12月31日まで)に得た「すべての所得」に対して課税されます。
したがって、所得税の額は、日雇いか副業かにかかわらず、個人の所得に税率をかけたものとなります。
税金にはさまざまな種類があります。
所得税のように所得額に応じて税率が変わるものもあれば、消費税のように消費額に応じて一律に税率が決まるものもあります。
また、税金の種類によって、様々な免除や特例、期限付きの特例などが設けられています。
日本の税制は、基本的に「申告納税制度」です。
納税者である国民は、税制を正しく理解し、自分の課税所得を計算し、そこから税額を算出し、自分の申告で税金を納める必要があります。
会社員の場合は、会社がこの手続きを代行してくれますが、自営業者の場合は、自分で確定申告をして、自分で税金を納める必要があります。
通常の仕事でも副業でも、収入があれば正しく申告し、それに見合った税金を納めなければなりません。
意図的に申告しない場合は、脱税行為となります。
当然罰則があり、追徴課税や延滞金など重い罰則を受ける可能性があります。
副業をしている場合でも、収入は正しく申告するようにしましょう。
副業による所得が20万円超であれば、基本的に、確定申告である必要とされています。
市区町村は、所得税の確定申告を行うと、その申告書に記載された所得金額に基づいて住民税を計算し、納税者に通知します。
仮に副業の所得が20万円以下であっても、毎年3月15日までに住民税の申告書は提出する必要があります。
住民税は地方税に含まれるため、納付場所は自治体によって異なります。
お住まいの市町村のホームページでご確認いただき、申告漏れのないようご注意ください。
会社員が副業を行い、確定申告が必要となる基準の一つに、上記のように本業以外での所得が20万円を超えるかどうかというものがあります。
給与所得は経費を経常することはできませんが、所得金額に応じて給与所得控除が適用されます。
給与所得とは、賃金(収入)の額から給与所得控除額を差し引いた額のことです。
副業による所得が給与所得である場合、副業による給与所得の金額が20万円を超えると確定申告が必要になります。
【給与所得の計算式】
給与所得 = 給与(収入)- 給与所得控除額
本業の所得が給与所得の場合は、本業の会社で年末調整を受け、本業の所得に対して所得税を清算します。
副業の給与所得が年間20万円を超える場合は、副業の所得について自分で確定申告を行い、本業と副業の給与所得を合算して所得税を再計算します。
本業と副業で給与所得がある場合、年末調整を受けるためには、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を本業の会社に提出する必要があります。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出することで、源泉徴収票の甲欄には本業の所得税区分が計算されることになります。
1人につき1事業所しか申告書を提出できないため、通常は所得金額が多い主たる本業の勤務先で年末調整を行うことになります。
副業による所得が事業所得や雑所得の場合は、本業の給与に係る源泉徴収票や副業所得の支払通知書に記載されている金額をもとに確定申告を行います。
事業所得や雑所得は、収入から経費を差し引いた金額です。
【事業所得と雑所得の計算式】
事業所得(または雑所得)= 収入 - 経費
副業の所得が事業所得や雑所得で、20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
例えば副業の収入が40万円、経費が25万円の場合、以下のようになります。
40万円(収入)- 25万円(経費)= 15万円(収入)
そのため確定申告は必要ありません。
経費とは、事業を運営するために必要な費用のことです。
例えば、ライターであれば、記事を書くために購入した参考書や、有料のWeb記事、クライアントと会うために発生した交通費などが該当します。
なお、経費として計上した領収書や請求書は、一定期間保存する必要があります。
副業の所得が事業所得である場合、確定申告の際に青色申告を選択することで様々な節税効果を受けることができますが、雑所得は青色申告ができず、白色申告のみとなります。
副業として不動産から収入を得ている場合の不動産所得は、収入から必要経費を差し引いて計算します。
不動産所得の計算式
不動産所得 = 不動産収入の合計 - 経費
不動産所得が商業的規模であり青色申告をした場合、青色申告特別控除として最大65万円の控除を受けることができます。
商業的規模とみなされる基準は、家屋5棟または独立した部屋が10室です。
一方、事業的規模とみなされない物件で青色申告をした場合は、青色申告特別控除として最大10万円の控除を受けることができます。
不動産からの収入には、家賃のほか、更新料や共益費などがあります。
経費には、委託管理会社への管理費・保守料・共用部分の水道光熱費などが含まれます。
雑所得は青色で申告できないので、白色で確定申告をする必要があります。
白色申告は青色申告のような事前手続きは必要ありませんが、申告書の他に「収支内訳書」を作成する必要があるので、事前に収支が分かる帳簿や書類を用意しておきましょう。
副業を行っていても確定申告が不要な主な場合は以下の通りです。
①副業の所得が給与所得であり、本業と副業の収入が全て源泉徴収の対象となる場合、年末調整されなかった給与の収入金額とそれ以外の所得(給与所得と退職所得を除く)の合計が200,000円以下の場合。
②①の合計が20万円を超える場合で、かつ、給与の収入の合計額から所得控除(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除く)を差し引いた金額の合計額が150万円以下、かつ、各種所得の金額(給与所得・退職所得を除く)の合計が20万円以下の場合
③給与所得を本業の1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合、かつ、副業の所得が給与所得以外であり、かつ、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の場合
確定申告は方法によって、「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
青色申告は、複式簿記による記帳やすべての事業支出・収入の正確な記録・報告などの要件を満たす方法です。
記帳の信頼性から、政府もこの方法を奨励しているため、以下のような優遇策を打ち出しています。
・青色申告特別控除
控除が受けられることは、青色申告の大きなメリットです。
必要な条件を満たして青色申告を利用すれば、青色申告特別控除として所得控除を受けられます。
・青色事業専従者給与
青色申告をした場合に限り、生計を一にする15歳以上の親族で、1年間に6ヶ月以上事業に従事している人に支払う賃金を要経費にすることができます。
青色申告をしない場合、原則として親族に支払った賃金は経費に算入することができません。
・純損失の繰越控除や繰戻還付を受けられる
青色申告のもう一つのメリットは、損失を繰り越せることです。
ある年に損失が出た場合、そのマイナス分を翌年以降の3年間の黒字から差し引くことができるのです。
また、前年の所得を繰り越し、所得税の還付を受けることも可能です。
青色申告の記帳に使われる複式簿記は難しく、誰でもできるわけではありません。
また、確定申告のために簿記を一から勉強するのは非現実的です。
この場合、白色申告をするのも手の一つです。
白色申告とは、青色申告をしない事業者が、簡単な帳簿をつけることで行う方法です。
簡単な帳簿だけでよいので、難易度の低い申告方法といえます。
ただし、前項で挙げたようなメリットは存在しないため、白色申告を選択するのは簡単なことではありません。
しかし、現在会計には多くのデジタルツールやクラウドサービスが存在します。
確定申告で青色申告に必要なデータを取り込み、必要な書類を作成するだけで、複雑な会計を完結させることができるようになりました。
よほど特殊な事情がない限り、白色申告よりも青色申告の方が望ましいと言えます。
確定申告に必要な書類やデータを用意する必要があります。
確定申告に必要な主な書類は以下の通りです。
・確定申告書
・本人確認書類(マイナンバーカードなど)
・銀行口座を証明する書類
・所得を明らかにする書類
・控除証書
所得を計算するためには、源泉徴収票や請求書なども必要です。
確定申告書と必要な添付資料を作成する必要があります。
確定申告書は例えば以下のような方法で作成できます。
・国税庁のウェブサイトから確定申告書をダウンロードし、手書きで記入
・確定申告書等作成コーナーを利用して申告書を作成する方法
・税務署や市区町村役場の税務課や確定申告相談会場で受け取り、手書きで記入する
・確定申告に対応した会計ソフトを利用してデジタルで申告書を作成する
確定申告時に添付や提示が必要な書類を確認し、確定申告書と一緒に提出します。
提出方法としては、税務署の窓口への直接提出・郵送・電子申告(e-Tax)があります。
もし還付を受ける場合は、確定申告書に記入した金融機関の口座に振り込まれます。
納付の場合は、窓口・金融機関を通じた納付・e-Taxを利用した納付など、複数の選択肢があります。
確定申告の申告期間は通常、2月16日から3月15日までです。
もし確定申告を忘れたり、必要な書類を用意できずに期日までに申告できなかった場合、期限後申告となり、無申告加算税や延滞税というペナルティが課されます。
ただし、期限内に申告する意思があることが認められる場合、無申告加算税が免除される可能性もあります。
そのため、気づいた時にはすぐに申告を行いましょう。
副業で確定申告をする場合、いくつか気をつけておきたい点があります。
ここでは、副業における確定申告の注意点についてご説明します。
帳簿や領収書などは、通常7年間保管する必要があります。
白色申告の場合は5年間の保管が必要です。
確定申告が終わっても大切な書類を捨てずに保管しましょう。
フリマで生活用品を売って得た利益は一般的に非課税となり、確定申告は必要ありません。
ただし、1点30万円以上の美術品や貴金属を売って所得を得た場合は、「譲渡所得」となり、確定申告が必要になる可能性があります。
確定申告をすると、会社に副業をしていることがわかる可能性があります。
住民税の算出にも所得税の確定申告内容が利用されます。
副業を会社に知られたくない場合は、住民税の徴収方法欄で「自分で納付」を選択すると、副業分の住民税納付書が自宅に届くようになります。
これを「普通徴収」といい、企業が給与から天引きで徴収する方法は「特別徴収」です。
ただし副業が給与所得である場合、住民税は通常特別徴収となります。
特別徴収では給与から天引きで納付されるため、本業の会社に副業が認識される可能性があります。
会社員などが副業をする場合、副業の所得が20万円を超えると、通常は確定申告が必要です。
もし副業の収入や報酬から源泉徴収されている場合、確定申告を行うことで、納めすぎた税金が返金される可能性が高いです。
ただし、所得税の確定申告には書類作成や税金の計算など、手間のかかる作業が多いため、負担を感じる方もいるかもしれませんが、確定申告が必要なのに怠るとペナルティがあるので注意が必要です。
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