公開日:2022.03.23
更新日:2025.03.24
ITの分野は近年急速な進歩を続けており、IT業界で働くエンジニアにも様々職種があります。
その中でも今回注目するのが、ソフトウェアの品質を守る職業である「テストエンジニア」です。
テストエンジニアはソフトウェア開発に欠かせない専門職であり、今後の需要動向にも注目されます。
この記事では、テストエンジニアの概要やテスト自動化の影響、テストエンジニアに求められるスキル、テストエンジニアの年収についてお伝えします。
特に、以下の方にこの記事を読んでいただきたいです。
・テストエンジニアのキャリアを検討している方
・テストエンジニアとテスター、デバッガーとの違いを知りたい方
・テストエンジニアの仕事内容を知りたい方
・テストエンジニアの年収について知りたい方
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<目次>
1.テストエンジニアとは
テスターとの違い
デバッガーとの違い
2.テスト自動化によるテストエンジニアへの影響
3.テストエンジニアの仕事内容
テスト計画の策定
テストケースの作成
テストの実行
テスト結果のレポート化
4.テストエンジニアに必要なスキル
ソフトウェア開発・プログラミングスキル
テスト技法に関するスキル
集中力
課題定義スキル
資料作成スキル
5.テストエンジニアの年収
6.まとめ
この章では、テストエンジニアに関して、概要やテスター・デバッカーとの違いをお伝えします。
テストエンジニアとは、IT機器や家電製品などのデジタル製品が仕様書通り作られているか調べる専門職のことです。
テストにおける計画〜改善提案までを幅広く請け負います。
エラーやバグの早期発見は、修正コストの削減につながります。
また、システム障害を防げれば、機会損失の発生も避けられるでしょう。
従来はテストエンジニアの役割を、若手エンジニアが担うことも多くありました。
しかし近年では、安定稼働する製品や高いセキュリティへの要望の高まりとともに、テスト技法に精通したハイスキル人材の需要も高まっています。
テストエンジニアと混同されやすい職種に、テスターが挙げられます。
テスターは、開発工程の中であらかじめ作成された計画書に基づいたテストや検証を担当する専門職です。
テストの計画書などから、テストを進めます。
テスターを経験することで、システムに関する基本的な知識を得られます。
一方のテストエンジニアは、テストに関して計画から実施、改善提案までを行う専門職です。
ケースによってはテストを自動化するためのプログラムを組む必要もあり、テスト技法だけでなくプログラミングにも精通していなければなりません。
テスターとテストエンジニアは、ともにテスト工程を担当する専門職です。
しかしテスターがテスト計画書通りのテスト実施を主な業務としているのに対し、テストエンジニアはテスト計画の作成も業務としています。
そのためテストエンジニアには、製品の品質やセキュリティ全体に関する知識が求められます。
業務範囲の違いを意識すると、両者の違いをイメージしやすいでしょう。
デバッガーも、テストエンジニアと混同されやすい職種の1つに挙げられます。
デバッガーは、テスト仕様書やテストケースに基づいてテストを実施し、バグや不具合が発生しないかを確認する職種です。
もしバグや不具合を発見すれば、テスト結果を報告書に記します。
この報告書をもとに開発工程のエンジニアが原因の特定や解消を行うため、デバッガーには報告書への正しくわかりやすい記述が求められます。
テストエンジニアとデバッガーの違いも、やはり業務範囲です。
テストエンジニアはテストの実施だけでなく仕様書や設計書、テストケースの作成など、ソフトウェアの品質管理やセキュリティ維持に関するより幅広い業務を担います。
デバッガーとしてテストに参加した経験は、テストケース作成やテスト全体の設計において欠かせません。
そのため、実際にデバッガーとしてバグや不具合を発見する経験を積み、テストエンジニアへのキャリアパスを描く方も多くいます。
近年では、テストプログラムやテスト用ツールを活用した、テストの自動化が進められています。
自動化が進むことで、テストエンジニアの業務は効率化し、コストの削減も期待できます。
そして同時に、自動化によってテストエンジニアの需要も減ってしまうのではとの声もあるのが実情です。
しかし、結論からお話しすると、自動化が進んでもテストエンジニアの需要はなくならないと考えられます。
これまで人が担っていたテスト工程が自動化されたとしても、テストプログラムやツールを使いこなすための専門家が必要だからです。
また、新機能のテスト計画や設計などにおいても、エンジニアには求められると言えます。
確かにこれまでテストエンジニアが担っていた業務の一部が自動化によって不要になります。
しかし同時に、求められる業務やスキルが変化することも、充分に考えられるでしょう。
この章では、テストエンジニアの仕事内容についてお伝えします。
テストエンジニアの業務は、多岐にわたります。
テストエンジニアの仕事内容としてまず挙げられるのが、テスト計画の策定です。
システムやソフトウェアに実施するテストの内容を決め、計画します。
テストを実施する最初の段階で行う大切な仕事であり、実施方法や実施期間、人員配置などを詳細に決定する工程です。
開発者から情報を集め、テスト対象や順番、範囲やテストを完了とする基準などを決めて計画書を作成していきます。
テストの詳細があやふやなままだと後の工程に悪影響が出てしまうため、非常に重要な業務だと言えます。
テスト計画書が出来上がってきたら、実際の技法・観点などの設計を行います。
テストの観点や技法が決まったら、テストケースの作成に進みます。
テストケースとは、どんな条件の下でどんなテストを実施するのか、整理したものを指します。
具体的には、テストを実施する手順や条件、利用するデータや期待される結果などを文書にまとめます。
<テストケースの項目>
・テストの対象:テストを実施する対象
・テストの観点:何をどのようにテストすべきかの観点を整理したもの
・操作手順:テストを実施する際の具体的な手順
・前提条件:テストを成立させるために満たすべき前提条件
・入力データ:テストの実行に利用するデータ
・期待される結果:どのような結果が出ればテストが正常に行われていると判断できるか
テストケースを作成する主な目的は、必要なテスト内容の見落としを防ぐことです。
ソフトウェアのリリース後にユーザーによって重大な不具合が発見されてしまわないよう、テストの詳細について整理する必要があります。
また、テストの概要を誰にでも分かるようにしておくことも、テストケースの目的の1つです。
改めてテストを実施するとなった場合でも、テストケースが作成されていれば必要なポイントをすぐに確認できます。
ユーザーがどんな条件でソフトウェアを使用するのかを想定する工程であり、非常にテストエンジニアの仕事の中でも特に重要性が高いと考えられます。
テストケースを作成する際には誰がやっても同じ内容となるように手順を考え、仕様や要件も確認できるようにしておくことが重要です。
テスト計画・テストケースを作成できたら、いよいよテストを実行します。
作成したテスト計画書・テストケースに基づき、テストを順番通り実施していきます。
テスト実行後のDBダンプをはじめとする証跡は必要に応じて残し、想定通りプログラムが作動しているのかを確認する工程です。
一般的にはテストエンジニアの役割とされていますが、プログラマやシステムエンジニアが兼務したり、ソフトウェアによって自動化させたりするケースもあります。
また、テストの実行を専門とするアルバイトを採用することや、未経験のテストエンジニアが最初に行う業務としても扱われることなどがある作業です。
テストを実施したら、結果をレポートとして残します。
結果を資料にまとめたら、開発担当者やチームリーダー、プロジェクトリーダーをはじめとする上流工程の担当者に渡します。
結果をまとめている中で不備が明らかになったり要望が出たりした場合、再テストを行うこともあります。
また、報告後にテスト方法の見直しがあった場合、再度テストの計画からやり直す可能性もあります。
ソフトウェアに問題があった場合の原因を探る材料となるため、報告書では正確性や分かりやすさが特に重視されます。
この章では、テストエンジニアに求められるスキルについてお伝えします。
テストエンジニアには、技術者としてのスキルだけでなくビジネスマンとしてのスキルも求められます。
テストエンジニアに求められるスキルとしてまず挙げられるのが、ソフトウェア開発やプログラミングのスキルです。
テストエンジニアがテストを実施するのはソフトウェアに関してであり、ソフトウェア開発に関する知識やスキルは必ず必要になります。
対象のソフトウェアの機能や実装される際の手順などを把握することで、最適なテストケースが分かるようになります。
また、ソフトウェアについて理解を進めるうえでは、プログラミングのスキルも重要です。
エラーが発生した際に、問題個所をソースコード上で確認したり修正案を提案したりできれば、エンジニアとしての価値が高まります。
業務範囲の拡大やキャリアアップにつながるため、プログラミングに関してもソフトウェア開発の一部として身につけておくべきでしょう。
テスト技法に関するスキルも、テストエンジニアには欠かせない要素の1つです。
テストエンジニアはテストを実施するだけでなく、テスト全体の計画づくりやテストケース作成にも携わるためです。
システムに沿って適切なテスト環境を作り上げるには、テスト技法に関するスキルが欠かせないでしょう。
たとえば、テスト工程は通常以下の手順で進められます。
・単体テスト:プログラムを1行ずつ実行し動作確認する(ホワイトボックス)
・統合テスト:統合済みモジュールを1機能として動作確認する(ブラックボックス)
・システムテスト:システム全体に対し、動作確認する
また上記とは別に「性能テスト」と呼ばれるシステムの性能を確認するテストも実施するケースもあります。
上記のテストを効率的かつ抜け漏れなく進めていくためには、テスト技法に関する知識が不可欠でしょう。
テスト技法に関する知識やスキルがあれば、以下のテストも実施可能になり、さらに効率性・正確性が高まります。
・デシジョンテーブルテスト
複数の条件の組み合わせをデシジョンテーブルで記述し、テストケースを導出する
・状態変遷テスト
状態遷移図や状態遷移表を用いて、ソフトウェアが動作する際の様々な変化を確認する
テストエンジニアには、高い集中力が求められます。
担当するフェーズによっては、細分化された膨大なテストケースを1つずつこなしていかなくてはならないからです。
地道な作業を長時間継続できる集中力がなければ、テストエンジニアの仕事は務まりません。
そしてただ続けるだけでなく、正確性を保つため丁寧な作業が求められるでしょう。
もしテストに抜け漏れがあれば、ソフトウェアに存在する不具合やバグを見逃してしまうことも考えられます。
1つ1つの作業に手を抜くことなく集中し続けられる忍耐力は、テストエンジニアの大きな資質の1つです。
集中力と同様に求められるのが、課題定義スキルです。
テストエンジニアは、ただテストを実施する専門職ではありません。
テストで見つかった問題を把握し、課題提起する力も求められます。
また、テスト作業や環境が抱えている問題点を洗い出し、課題として改善していくことも重要な役割です。
ここでしっかりとした提案ができるかどうかは、テストエンジニアとしての価値を左右する重要なポイントでしょう。
テストエンジニアには、資料作成スキルも求められます。
テスト終了後に実施したテストケースに関して、結果を資料にまとめなくてはならないからです。
資料の流れや問題点、改善点を分かりやすくまとめる能力が求められます。
質の高い資料を作成できればその後の工程がスムーズに運ぶため、資料作成能力の高いテストエンジニアは高い評価を受けると考えられるでしょう。
具体的にはワードやエクセル、パワーポイントなどのオフィスツールを使用した資料制作スキルが必要です。
テストエンジニアの年収は経験やスキルによっても異なりますが、おおむね500万円前後だと言われています。
しかし実力次第では、より高収入も望めるでしょう。
フリーランススタートの求人情報によると、月収50万円〜90万円(年収600万円〜1,080万円)程度の価格帯の募集も多くありました。
そのため、経験を積み実力を高めるなどの努力により、年収1,000万円を超えることは充分に可能だと言えるでしょう。
IT技術は日進月歩で進化しており、その規模や複雑さは短期間で高まっています。
そのため、今後もテストエンジニアの需要は高まっていくことが充分に予測されるでしょう。
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テストエンジニアは、IT機器や家電製品などのデジタル製品が仕様書通り作られているかチェックする職種です。
テスト計画から実行、資料作成、そして改善提案までを幅広く請け負います。
そのためテストエンジニアには、ソフトウェアやプログラミングに関するスキルだけでなく、課題定義や資料作成の能力も求められるでしょう。
今後もIT機器に関する需要は高まっていくと考えられるため、テストエンジニアの需要・収入も高まっていくと予想されます。
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