公開日:2022.06.25
更新日:2025.03.24
副業や在宅勤務など、新しい働き方が広まっていく昨今、フリーランスとして活動をはじめる人も増えています。
フリーランスは「自由に働ける労働スタイル」として認知されていることが多く、ワークライフバランスを重視する人にとっては理想的な環境になるケースもあるでしょう。
しかし、その一方でフリーランスという仕事の方法には、「甘くない現実」があります。
フリーランスになった人全員が、必ずしも成功するわけではないことはもちろん、辛い現実にぶつかって心身共に疲弊してしまうこともあるのです。
本記事では、フリーランスが甘くない理由と、その仕事の実態について解説します。
フリーランスの現実的な問題や、成功するためのポイントについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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<目次>
1.フリーランスは甘くない?
フリーランスの2割以上が年収200万円未満
140時間以上のフルタイムで働いている人が半数以上
新規で仕事を獲得するのは簡単ではない
インボイス制度への対応などを個人で行わなければならない
2.働き方に対する満足度は高い傾向にある
3.フリーランスの現実とは?
仕事のスケジュール管理ができずに信頼を失う
「仕事がなくなるかも」という不安との戦い
孤独感に悩まされることも
4.フリーランスとして成功する・稼ぐためのポイントについて
常にスキルアップ・向上心を忘れない
さまざまな仕事にチャレンジする
仕事が途切れないように新規案件獲得に力を入れ続ける
5.まとめ
フリーランスという仕事に憧れを抱く人は多く、会社員からフリーランスに転身するケースも珍しくなくなっています。
「雇われよりも気楽に働ける」「自分らしい仕事ができる」「自由に休みのタイミングや仕事の開始時間を決められる」といった印象を持たれることも多いため、自由度の高い労働環境を求めてフリーランスになる人は今後も増えると予想されるでしょう。
国内最大級の規模を誇る「ランサーズ」の「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」によると、2021年におけるフリーランスの人口は1,577万人となっています。
こちらの調査がはじまった2015年から数値を比較すると、フリーランス人口は68.3%(640万人)も増加していることが分かります。
2020年1月の調査時点では、フリーランスの人口は1,062万人でした。
そこからわずか1年で500万人以上人口が増加したことになるため、フリーランスの需要の高さと、フリーランスを目指す人の多さには目を見張る結果になっていると言えるでしょう。
当調査によるとフリーランスの市場規模も増加していて、2015年時点では9.2兆円だったものが、2021年には23.8兆円となっています。
これは62.7%の増加率となるため、市場規模の拡大によってフリーランスの需要はさらに高まると予想できるでしょう。
さらに、株式会社Brocanteが発表した「ITフリーランス人材及びITフリーランスエージェントの市場調査」 2022年版によると2021年におけるITフリーランス人口は23.1万人、2020年の20.1万人から前年比15.1%増加しており、フリーランスとして活躍するIT人材は年間15%程で増加し、2022年ITフリーランス人口は25万人を超える見込みとのです。
そんな情報がある一方で、現実問題としてフリーランスの仕事は「甘くない」と評されています。
フリーランスになってみてはものの、仕事や収入が安定しないため生活に不安を覚えたり、生活環境が変化して心身に悪影響を受けたりといったケースも珍しくありません。
フリーランスになる場合には、需要の高さや拡大傾向の市場規模といった良い面ばかりを見るのではなく、甘くない現実にもきちんと向かい合う必要があります。
フリーランス協会が毎年発行している「フリーランス白書2022」によると、21.8%の人が年収200万円未満(世帯年収ではなく個人の年収)と回答しています。
時間労働ではなく成果主義が基本となるフリーランスの場合、労働時間によっては最低賃金を下回る結果になる可能性もあるでしょう。
年収200〜400万円未満のフリーランスも、年収200万円未満よりも多い29.4%という結果になっています。
国税庁が行った「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、「1年を通じて勤務した給与所得者」の平均年収は433万円です。
フリーランス白書2022の調査結果と比較すると、一般的な労働者の平均年収に届かないフリーランスは、51.2%以上と半数を超える結果になります。
年収面においては会社員の平均に届かないケースの方が多く、そのうちの約21%が200万円未満という生活に影響の出る可能性のある範疇にとどまっているのです。
また、フリーランス白書2022によると、コロナウィルスによって年収に影響を受けているフリーランスもかなりの人数いることが分かっています。
具体的にはコロナ禍前(2019年度)と比較して、事業収益が「減少見込み」と回答しているフリーランスが36.7%という結果になっているのです。
社会情勢によって収入が大きく変動するケースは、フリーランスにとって珍しくありません。
今回のコロナ禍でも、取引していた会社が倒産してしまったり、経費削減のために仕事を切られてしまったりといった事例は多いです。
収入面における安定性に欠ける点も、フリーランスが甘くないと言われる理由になるでしょう。
フリーランスという仕事には、「好きな時間に働いて、あとは自由にできる」といったイメージを持つ人も多いです。
短時間だけ働いて高収入を得られる印象がある人も、多いのではないでしょうか。
しかし、「フリーランス白書2022」によると、月間平均就業時間が「140時間以上(フルタイム)」になっている人は、48.3%と半数近い結果になっています。
フルタイム以上の労働時間で仕事をしているフリーランスの内訳は、以下のようになります。
・140~200時間未満:32.9%
・200~250時間未満:10.0%
・250時間以上:5.4%
(引用:フリーランス白書2022)
全体の数値としても、140~200時間未満の32.9%がもっとも多いケースになっています。
そのためフリーランスとして仕事をしていくのなら、フルタイム以上の時間を労働にあてなければならないことも考えられるのです。
「短時間で収入を得られる」といったイメージのように、甘くはないのがフリーランスの実情です。
フリーランスが甘くないと言われる理由には、「新規で仕事を獲得するのが難しい」点も挙げられます。
あらためて「フリーランス白書2022」を参考にすると、仕事獲得経路(直近1年間)は以下のような結果になっています。(複数回答)
・人脈:65.9%
・過去・現在の取引先 :58.3%
・自分自身の広告宣伝活動:26.2%
・エージェントサービスの利用:21.5%
・クラウドソーシング:15.3%
・求人広告(Web・SNS・新聞・雑誌など):14.6%
・その他:4.9%
・シェアリングサービス:1.6%
(引用:フリーランス白書2022)
人脈が65.9%ともっとも多く、次いで過去・現在の取引先から継続して仕事を受けているケースが58.3%となっています。
この結果から、フリーランスとして仕事を獲得し、それを継続していくためにはある程度の地盤が必要になることが分かるでしょう。
いきなりフリーランスに転身しても、その人口の多さから仕事を獲得できるとは限りません。
特に前職と関係のない業界でフリーランスになる場合、仕事の実績がないため大口の契約を得ることは困難となるでしょう。
フリーランスになったからといって、すぐに新規案件の獲得や安定した仕事の獲得経路が見つけられるほど甘くないのが現状です。
そのため最初は副業など小規模の事業からスタートし、少しずつ実績や人脈を作っていくことが必要となるでしょう。
フリーランスは、全ての事務作業を自分の手で行わなければなりません。
契約書の締結、価格交渉、確定申告の作成・提出など、あらゆる事務作業が必要です。
それらの情報についてひとつひとつ丁寧に調べて、自分の手で処理することが求められます。
フリーランスとして安定した収入を得られるようになれば、外部に委託するケースも考えられますが、最初は多くの場合自分自身で事務作業をこなさなければならないでしょう。
例えば確定申告を怠って税金の支払いを滞納するようなことがあれば、その後追加徴税を受ける大きなリスクを背負いこむことになります。
その他、契約書をきちんと結ぶことができないと、賃金の未払いなどのトラブルに発展して、状況によっては泣き寝入りを強いられることもあるでしょう。
そういった多くの負担を自分ひとりで受け止めなければならないことも、フリーランスが甘くないと言われる理由になっています。
また、これからのフリーランスは2023年10月からはじまる「インボイス制度」に向けた対応が求められるのも課題です。
フリーランスも「登録事業者」になって、消費税の仕入税額控除が行える適格請求書の発行が行えるように備える動きが見られます。
インボイス制度がはじまると、登録事業者になっていないフリーランスは適格請求書を発行できないため、消費税を契約している企業に負担してもらうことになります。
そうなると契約金の変更(減少)を打診されたり、最悪の場合には負担を減らすために登録事業者になっているフリーランスに乗り換えられたりする可能性があるでしょう。
そういった新しい制度における対応の判断も、フリーランス自身で判断しなければなりません。
他の人に判断を委ねたり、丸投げすることができない点もまた、フリーランスが甘くない理由になるでしょう。
上記のような甘くない現実がある一方で、フリーランスとして働いている人の働き方に対する満足度は高い傾向にあります。
「フリーランス白書2022」を参考にすると、今の働き方に対する満足度に対する回答内容は下記のようになっています。
・全般:非常に満足が18.9%、満足が51.9%
・就業環境(働く時間/場所など):非常に満足が33.7%、満足が42.8%
・仕事上の人間関係:非常に満足が25.3%、満足が49.4%
・達成感/充実感:非常に満足が23.6%、満足が48.9%
・スキル/知識/経験の向上:非常に満足が16.5%、満足が46.8%
・プライベートとの両立:非常に満足が25.9%、満足が43.0%
(引用:フリーランス白書2022)
就業環境(働く時間/場所など)における満足度は、「非常に満足」と「満足」を合わせて76.5%と高い水準になっています。
仕事上の人間関係が74.7%、達成感/充実感が72.5%、スキル/知識/経験の向上が63.3%、プライベートとの両立が68.9%と、満足度は高いことがわかります。
また、フリーランスという働き方全般に対する満足度も、70.8%と高い結果になっています。
この調査結果から、フリーランスになって仕事に満足感を得ている人は多く、後悔しているケースは少ないと考えられるでしょう。
一方で社会的地位、収入、多様性に富んだ人脈形成といった点では、満足度が30%前後と高いというわけではありません。
満足を得られることもあるけれど、不満を感じることもあるという両面を持つ点もまた、フリーランスが甘くないと言われる理由になるでしょう。
フリーランスになるのなら、その甘くない現実をきちんと理解した上で、仕事をはじめる準備を進めることがおすすめです。
以下からは、フリーランスの現実についての解説と、その対処法や必要な準備を紹介します。
フリーランスは、スケジュール管理が欠かせない労働スタイルです。
請け負った仕事をきちんと納期に間に合わせるために、綿密な調整が事前に求められるでしょう。
基本的にフリーランスのスケジュール調整は、自分自身で行わなければなりません。
そのため仕事にかける時間を見誤ると、成果物の品質が落ちたり、納期に遅れたりして信頼を損なう可能性があるのです。
フリーランスになるのなら、自分自身でスケジュールを立てるスキルの習得を目指しましょう。
また、フリーランスは在宅勤務などが多く、ひとりだけの空間で働くことも珍しくありません。
人に邪魔されないため集中しやすいというメリットがある一方で、サボり癖が付きやすくなるデメリットもあります。
サボり癖が付けば、当然仕事の効率や生産性は低下し、フリーランスとして結果を残せなくなる可能性があるでしょう。
スケジュール管理に加えて、自分自身を律して仕事に真剣に向き合う姿勢を常に持ち続けることがフリーランスには必要です。
フリーランスとして働き続ける場合、常に「仕事がなくなるかも」という不安と戦い続けなければなりません。
安定しているように思えても、来月から突然仕事が激減したり、契約会社から連絡が途絶えたりするケースは決して珍しくありません。
フリーランスは最低賃金が保証されているわけではないため、状況次第では仕事がいっきになくなってしまうこともあるのです。
そういった不安と向き合いながら仕事をしなければならない点も、フリーランスを甘くない職種と認識する理由になるでしょう。
「仕事がなくなるかも」という不安を解消するには、新規案件を獲得できる体制作りが必要です。
エージェントサイトに登録したり、自分に合った新しい案件をこまめにチェックしたりすることで、万が一仕事がなくなってもすぐに別の業務に移れる可能性が高まります。
フリーランス向けのエージェントサイトなどは多数あるため、まずはいくつかのサイトを実際に利用してみるのがおすすめです。
フリーランスは、その労働スタイルから孤独感に悩まされることも多いです。
特に一人暮らしでフリーランスとして働く場合、コロナ禍の影響もあって人との接触が最低限となってしまいます。
コミュニケーションの主体がメールやチャットになることも多く、「1日誰とも話さなかった」となるケースも珍しくありません。
孤独感はストレスの原因となり、精神的な負担になり得ます。
最悪の場合には精神的なトラブルを引き起こし、フリーランスとして働くことが難しくなる可能性もあるでしょう。
孤独感を解消するために、フリーランスとして働く場合には仕事以外の場所に安らぎを求めることがおすすめです。
没頭できる趣味を見つけたり、仕事以外でコミュニケーションを楽しめる場所を見つけたりして、孤独を忘れるための方法を確立しましょう。
フリーランスとして成功するためには、収入を安定させる必要があります。
そこで以下からは、フリーランスとして稼ぐためのポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
フリーランスとして成功するためには、常にスキルアップと向上心を忘れないことが基本です。
新しいことを勉強したり、現在のトレンドを積極的に取り入れたりして、「今通用するフリーランス」を目指すのがポイントになるでしょう。
スキルアップや向上するための努力を怠ると、後から続いてくる後輩のフリーランスに追い抜かれる可能性があります。
よりスキルの高いフリーランスがいれば、企業はそちらに優先して仕事をふってしまうため、収入の減少につながることもあるでしょう。
甘くないフリーランスの世界で生き残るためにも、スキルアップと向上心を持ち続けることは常に意識しておくのがポイントです。
フリーランスとして成功するには、さまざまな仕事にチャレンジする姿勢も重要です。
今の自分ができる仕事に一生懸命取り組むことも、もちろん大切なことですが、ずっと同じ仕事ばかりを続けている対応できる業務範囲を広げられません。
特定の仕事しかできないフリーランスになってしまうと、将来的にそのジャンルの仕事が減少した場合、上手く立ち回ることができなくなってしまうでしょう。
そのためフリーランスとして仕事をはじめた後も、新しいジャンルに挑戦を続け、自分の可能性を広げていくことがおすすめです。
当然、スキルや実績のない領域でいきなり大きな仕事を取れるほど、フリーランスの仕事は甘くないのが現実です。
しかし、小規模の仕事からなら未経験でも任せられることは多いため、少しずつ業務範囲を広げることを意識して仕事をしましょう。
フリーランスは、仕事が途切れないように新規案件の獲得に力を入れ続けることがポイントです。
仮に今の仕事が中断されても、すぐに新規案件を取得できれば、収入面で困ることは少なくなります。
先にも挙げた通り、フリーランス向けのエージェントに登録したり、フリーランス向けの案件を提供しているサービスを活用したり、SNSなどで営業活動を行ったりといった方法がおすすめです。
新規案件をスムーズに獲得できるほど、フリーランス業界は甘くないのが現状ですが、実力さえあれば仕事の獲得につながるチャンスは多いのもまた現実です。
外部に公開できるポートフォリオを作成して、新規案件を獲得しやすい環境を常に作っておければ、フリーランスとして仕事を取り続けることは不可能ではありません。
フリーランスとして働く人は増えていますが、簡単に収入を安定させられるほど甘くないのが現実です。
会社を辞めてフリーランスになったけれど、仕事がなくて生活に困ってしまうという事態にもなり得ることは、事前に把握しておく必要があるでしょう。
一方で、いくつかのポイントとフリーランスの甘くない現実を理解することで、成功するための準備ができます。
この機会にフリーランスとして生活を安定させられるように、必要な準備や知識を確認してみてください。
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本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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