公開日:2023.03.16
更新日:2025.03.24
Slerとは「エスアイアー」や「エスアイヤー」と呼ばれるシステムインテグレーション業務を担当している企業のことです。
これらの企業はシステムの構築や導入などといった、システム開発に関する業務を全体的に請け負っています。
そのため、Slerとして働くためにはさまざまなスキルを取得していることが前提になるといえるでしょう。
本記事ではSlerの4つの分類を見た上で、SIerのエンジニアの仕事内容やSIerと混同されやすい業界、SIerで必要とされるスキル、Slerの年収、SIer出身者の転職先などについて解説していきます。
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<目次>
1.SIerの4分類
ユーザー系
メーカー系
独立系
外資系
2.SIerのエンジニアの仕事内容
業務要件定義
システム要件定義
基本設計・詳細設計
開発
テスト
保守運用
3.SIerと混同されやすい業界
パッケージベンダー
SES
ITコンサル
ソフトハウス
4.SIerで必要とされるスキル
要件定義スキル
開発スキル・経験
プロジェクトマネジメントスキル
顧客折衝能力
ロジカルシンキング
5.SIerの年収
6.SIer出身者の転職先
コンサルティングファーム|ITコンサルタント
事業会社|情報システム部のエンジニア
SES|エンジニア
独立|フリーランスエンジニア
Web業界|自社サービス開発エンジニア
7.まとめ
Slerと一括りにしても業務の幅が広いため、企業ごとに業務内容が大きく異なります。
Slerは以下4つに分類できます。
・ユーザー系
・メーカー系
・独立系
・外資系
それぞれ詳しく解説していきます。
ユーザー系Slerは銀行をはじめとする金融業界や保険会社などを親会社に持っていることが一般的です。
代表的なユーザー系Slerとして、伊藤忠テクノソリューションズやNTTデータなどが挙げられます。
国内における大企業の多くが膨大な量の情報を扱っているため、安全なシステムが不可欠です。
これらのシステムの構築や保守を行うためにユーザー系の子会社を持っています。
メーカー系Slerの中にはスーパーコンピュータなどのハードウェア開発を行うコンピューターメーカーのソフトウェア開発部門などから独立した企業が多くあります。
例えば、日立製作所系企業の日立ソリューションズや日立システムズの他、三菱電機系企業である三菱電機インフォメーションテクノロジーや三菱電機インフォメーションシステムズなどが挙げられます。
ハードウェアなどのコンピューターメーカーは将来的にも高い需要があると考えられているため、SEとして長く働きたいと考えている方にもおすすめできる分野です。
独立系Slerとは親会社はなく、独自で経営を行っている企業のことです。
独立系Slerの特徴は仕事の獲得に向けた営業からシステムの構築、さらには運用までを社内で完結している点です。
代表的な独立系Slerの企業として、大塚商会やトランス・コスモスなどが挙げられます。
社内で業務を一貫して行っているため成果主義や実力主義の企業が多い傾向にあります。
そのため、独立系Slerの企業においては年功序列というよりも、スキルや能力の高いエンジニアほど給与が上がりやすいと見受けられます。
外資系SIerとは外資系企業を母体としている企業のことです。
海外の技術を国内に導入したり、国内企業の海外進出を後押ししたりするグローバルな案件が多くあります。
代表的な外資系企業Slerとしてシスコシステムズやオラクル社の日本法人などが挙げられます。
外資系企業は業界を問わず実力主義・成果主義などといわれていますが、Slerも例外ではないでしょう。
国内に所在する外資系Slerにも実力主義・成果主義の企業が多くあります。
Slerのエンジニアは他のエンジニアと比べても、仕事内容が多岐にわたります。
Slerのエンジニアの仕事内容として主に以下6つが挙げられます。
・業務要件定義
・システム要件定義
・基本設計・詳細設計
・開発
・テスト
・保守運用
それぞれについて詳しく解説していきます。
業務要件定義とは立案した企画に基づき、クライアント企業が抱える問題を解消するために必要なシステムの要件定義を行うことです。
業務要件定義では再現性も重要なポイントになります。
現実的に再現できるかなどを考慮し、システムの構築に向けて仕様を決定していきます。
業務要件定義の方法はクライアントの要望によって異なります。
新しいシステムをイチから開発したり、既存のシステムを組み合わせたりする方法があります。
システム要件定義とはシステム開発で性能や実装すべき機能などを明確にしていく作業のことです。
この段階でシステムの仕様がある程度定まるため重要なフェーズとなります。
要件定義書に基づき、どういったシステムを構築するべきか基本設計を行います。
基本設計が大方完了した後で、各領域に応じた細やかな詳細設計の決定をしていきます。
要件定義が完了したら実際の開発を行います。
要件定義で定めた内容を参照しながら、基本設計やより詳細な仕様を決める設計を行っていき仕様書を作成します。
仕様書が完成したら、実際に開発作業に入ります。
開発業務が進み、動作する段階に入ったらテストを実施します。テストでは不具合が生じていないか、仕様どおりに動作しているかなどをチェックしていきます。
テストにはいくつかの種類があり、個別に動作確認をする単体テスト、それらのシステムを連動する結合テスト、実際の運用を想定した最終段階のテストである総合テストなどがあります。
これらのテストを行い、改善を繰り返すことによって実際の運用につなげていきます。
SIerは運用後の保守も担当することがほとんどです。
自社で構築したシステムに問題が生じないか運用中のトラブルの監視を日常的に行います。
また、メンテナンスを定期的に行い、使用中にトラブルが生じることを防ぎます。
システムの運用中にトラブルが生じた場合にはトラブルを解決できるよう対応します。
Slerと混同されやすい業界として主に以下4つが挙げられます。
・パッケージベンダー
・SES
・ITコンサル
・ソフトハウス
それぞれについて詳しく解説していきます
パッケージベンダーとは業務用パッケージシステムの開発、および販売を一般的に行います。
クライアントにとって重要度の高いシステムの開発や販売を行っています。
もっとも有名なシステムは会計管理や人事管理などを統合管理する統合業務パッケージである企業資源計画というものです。
その他にも、業務の基幹部分に深く関わるシステムがあり、例えば売上管理システムや物流の配送管理システムなどさまざまな種類のシステムが挙げられます。
パッケージベンダーもSler同様、自社で使う製品の開発ではなく、クライアント企業が使う製品の開発を行っています。
しかし、両者は大きく異なります。パッケージベンダーはパッケージのみを扱う一方、SIerはハードウェアの開発からサポートのみの仕事など対応業務の幅は広いです。
SESとはSystem Engineering Serviceの頭文字を取った言葉で、日本語では準委任契約や客先常駐と呼ばれることが多いです。
SESはIT業界における契約形態の1つで、エンジニアを派遣してもらい、労働力を提供してもらう契約形態のことです。
例えば、企業がシステム開発に向けてエンジニアが必要だと判断した場合、エンジニアを抱える企業に依頼を行い、派遣されたエンジニアにスキルや知識を提供してもらいます。
自社にエンジニアがいない企業の場合でもSESを活用することで、自社に不足している技術力と労働力を補えます。
ITコンサルの主な役割はクライアント企業が抱える経営課題を解決することです。
クライアントにヒアリングを行い、経営課題の洗い出しを行った上で、どのようなシステムを導入することで課題を解決できるのか検討していきます。
ITコンサルの業務幅は広く、新システム導入の提案から動作検証の他、システムの見直しやシステムの最適化などさまざまです。
ソフトハウスとはソフトウェアパッケージの開発やソフトウェアの受託開発を主に行っている企業のことです。
ソフトハウスの多くが企業からソフトウェアの開発を受託していますが、自社開発のソフトウェアを販売する企業もあります。
また、ソフトハウスはユーザー系と独立系の2つに分類できます。ユーザー系ソフトハウスとは親会社の業務領域のソフトウェア開発を得意とする点が特徴です。
金融や運輸、製造などといった大手企業が自社システムを構築するために設立されました。
一方、独立系ソフトハウスは親会社を持たず、独自の経営戦略でビジネスを展開しています。企業の規模はユーザー系よりも小さい傾向にあります。
Slerで必要とされるスキルとして以下5つが挙げられます。
・要件定義スキル
・開発スキル・経験
・プロジェクトマネジメントスキル
・顧客折衝能力
・ロジカルシンキング
それぞれについて詳しく解説していきます。
システムを開発する際は、まずは要件定義に取り組みます。要件定義ではクライアントからの要望をまとめていきます。
要件定義をうまく作成できれば、システム開発の土台が安定するため業務を効率よく進められる他、作業に携わる人たちが共通の認識をもって役割を果たせるようになります。
Slerは要件定義の作成を行う機会も多いため、要件定義の経験があると安心です。
Slerでは開発スキルや経験が求められます。
前述のように、Slerは上流工程から下流工程まで一貫して担当することが多いため、開発に関する幅広いスキルや知識が必要です。
また、さまざまな開発に携わった経験のある人は複雑な開発案件においても問題なく対応できるでしょう。
Slerとして一人前になるためには長い年月をかけて経験を積むことが不可欠となります。
Slerは経験を積み、キャリアアップしていくとマネジメント的な役割を担うこともあります。
プロジェクトのリーダーとして納期までにクライアントにシステムを納品できるよう、進捗管理や、メンバーのスケジュール調整などを任せられることもあります。
マネジメント的な役割を任された場合、ITや開発に関する高いスキルだけでなく、コミュニケーション力や調整力といったリーダーとしてのスキルも必要となります。
チーム全体の人間関係が良好だと業務も円滑に進むため、チームの雰囲気づくりも重要な役割となるでしょう。
前述のようにSlerはシステム開発における業務全体を請け負うため、クライアントと直接話す機会も多くあります。
例えば、要件定義の段階では予算を考慮するとクライアントが希望する機能をすべて搭載できないこともあるでしょう。
この場合、事情を説明し、クライアントに納得してもらえるようなシステムを提案する必要があります。
また、システム運用中にトラブルが発生した場合、クライアントからクレームが入ることもあります。
そうした場合、クライアントの心情を考慮しながら、システムの状態や自社の状況なども説明して納得してもらわなければなりません。
話し合いを通してクライアントと自社の合意点を探り、互いに納得できる着地点を見つける必要があります。
ロジカルシンキングとは日本語で論理的思考力とも呼ばれるものです。
ロジカルシンキングは問題解決に欠かせないスキルです。
ロジカルシンキングでは目の前にある物事の状況の整理を行った上で、解決に向けて筋道を構築していきます。
システム開発では要件定義や設計の段階でロジカルシンキングが求められます。
工程が矛盾せず欠陥のない設計書を提示しなければなりません。
Slerの年収は日本の平均年収よりも全体的に高いといえるでしょう。
特に外資系のSlerは年収が高い傾向にあり、年収1000万円以上稼げる企業も少なくないようです。
またメーカー系、ユーザー系の大手Slerも年収が高く、800万円前後といわれています。
ただし、元受け企業からさらに発注された下請け、もしくは孫請けのSlerは年収が下がる傾向にあります。
Slerとして経験やスキルのある人はフリーランスとして独立することを検討してみてもよいでしょう。
フリーランスのエンジニアを対象にした求人サイトであるフリーランスエンジニアには、想定年収が900~1200万円の求人も掲載されています。
実力によっては、独立することで年収をアップできるはずです。
Slerはシステム開発全体にかかわるため、スキルや経験を活かして転職時に有利になる傾向にあります。
Sler出身者の転職先として以下5つが挙げられます。
・コンサルティングファーム|ITコンサルタント
・事業会社|情報システム部のエンジニア
・SES|エンジニア
・独立|フリーランスエンジニア
・Web業界|自社サービス開発エンジニア
それぞれについて詳しく解説していきます。
コンサルティングファームにITコンサルタントとして転職すれば、年収アップも実現できるでしょう。
特に、大手SIerは会社の規模が大きく、かつ業務は上流工程が中心となるため仕事の受注金額も高く、従業員の年収も高い傾向にあります。
ITコンサルタントは業務幅が広いだけでなく、クライアントにとって重要な部分を担当するため責任のある仕事です。
企業によって仕事内容は多少異なりますが、クライアントの悩みをITツールなどを活用することで解決に導くことが一般的に求められます。
情報システム部のエンジニアとは社内SEとも呼ばれるもので、企業の情報システム部門で働くエンジニアのことです。
Slerがクライアント企業が使用するシステムの開発を行うのに対し、情報システム部のエンジニアは自社で使用するシステムやサーバー、ネットワークなどの構築を行います。
その他にも、情報システム部のエンジニアは事業で使用する在庫管理や経理処理などのシステムの構築や、従業員の業務効率化に向けたIT技術の導入などを担当することもあります。
SESとはクライアント企業に常駐し、開発から保守・運用などを担当するエンジニアのことです。
常駐期間はプロジェクトの内容や案件によって異なりますが、プロジェクト単位となるケースが多いようです。
SIerとして経験を積んだ人の中にはフリーランスエンジニアになる人も少なくありません。
エンジニア業界は人手が不足しているため、最近ではフリーランスのエンジニアを対象にした求人数も多いです。
また、SIerとしての経験は案件獲得時に評価され、有利になることも多くあります。
フリーランスになれば自分の好きな時間に仕事をできるため、ライフワークバランスの保たれた働き方も実現できるでしょう。
案件によっては完全在宅で働けることもあります。
自社サービス開発エンジニアはエンジニアとしてスキルアップしたい人におすすめです。
1つの技術を深く学びたい人や、プロダクトに対する熱量がある人に向いています。
自社開発でしか身に付けられないようなスキルを習得できる他、エンドユーザーが見えやすいためやりがいを感じながら働けます。
Slerはエンジニアの中でも業務範囲が広く、システム開発におけるすべての業務を請け負っています。
そのため、Slerとして働くには幅広い知識やスキルが必要となります。
その他にも、Slerとしてキャリアアップする中でマネジメント的な立場を任せられることも多いため、コミュニケーション力や人間力などといったリーダーとしての資質が求められるようになります。
Slerは業務を通してさまざまな経験ができるため、エンジニアとして多くの経験ができます。
転職時に有利になる他、フリーランスとして独立した際にも案件を獲得しやすいといったメリットも享受できるでしょう。
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