公開日:2022.08.10
更新日:2025.03.24
5Gとは、第5世代移動通信システム(5th Generation Mobile Communication System)の略で、携帯電話などに用いられる次世代通信規格の5世代目という意味です。
2020年3月、前世代の通信規格「4G」の次世代規格として、サービスが開始されました。
本記事では、「5G」に焦点を当て、以下の点を詳しく解説します。
・5Gとは何かについて
・5Gまでの移動通信システムの歴史について
・5Gのメリットについて
・5Gのデメリットについて
・5Gで実現できることについて
・5G対応スマホ・エリアについて
・6Gの将来性について
・6Gに期待される機能について
現在IT業界に従事している方(特にエンジニアの方)はぜひご一読ください。
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<目次>
1.5Gとは?
2.5Gまでの移動通信システムの歴史
1G:携帯電話の普及
2G:メール・インターネットの普及
3G:世界標準の高速通信の普及
4G:さらなる高速通信に特化
3.5Gのメリット
①高速・大容量
②高信頼・低遅延通信
③多数同時接続
4.5Gのデメリット
①5G対応のデバイスが必要
②通信エリアやスポットが狭い
③セキュリティリスクの増大
5.5Gで実現できること
①IoT化の加速
②遠隔技術の活用
③自動運転の推進
④働き方改革の推進
⑤VR・AR体験
6.5G対応スマホ・エリア
7.6Gの将来性
8.6Gに期待される機能
①超高速・大容量通信
②超低遅延
③超カバレッジ拡張
9.まとめ
5Gとは、第5世代移動通信システム(5th Generation Mobile Communication System)の略で、携帯電話などに用いられる次世代通信規格の5世代目という意味です。
2020年3月、前世代の通信規格「4G」の次世代規格として、サービスが開始されました。
5Gの凄みや魅力について理解するためには、移動通信システムの歴史を知ると理解しやすいです。
ここからは、5Gまでの移動通信システムの歴史について解説します。
1Gとは、第1世代移動通信システム(1st Generation Mobile Communication System)の略で、1980年、アナログ方式(声の形をそのまま電波の強さにして送る方式)の携帯電話に初めて採用された移動通信システムのことです。
1985年にはポータブル電話機「ショルダーホン」が、1987年には「携帯電話」が登場し、1Gが採用されました。
当時は、アナログ方式が主流だったため、搭載された機能は音声通話が基本でした。
2Gとは、第2世代移動通信システム(2nd Generation Mobile Communication System)の略で、1993年、1Gの次に登場したデジタル方式の移動通信システムのことです。
2Gが登場したことで、アナログ方式からデジタル方式の通信方式へと変化しました。
1Gと比べて、データ通信が簡単になったことで、メールやインターネットが普及しました。
この時代を牽引したのが、1999年に発売されたNTTドコモの「iモード」です。
iモードでは、Webサイトの閲覧や天気、ニュースなどの情報チェック、メールのやりとりなど当時では珍しい機能が多数搭載されていたため、一世を風靡しました。
それとほぼ同時期に、DDIセルラーグループ(現KDDI)は「EZweb」を、J-フォン(現SoftBank)は「J-スカイ」を開始しました。
3Gとは、第3世代移動通信システム(3rd Generation Mobile Communication System)の略で、国際電気通信連合 (ITU) が定める「IMT-2000」規格に準拠した、2Gに続く移動通信システムのことです。
2Gの時代、さまざまな通信障害や通信遅延などの課題点をきっかけに、2000年代には高速通信へのニーズが高まりました。
3Gが普及したことで、2Gでは2.4kbps〜28.8kbpsだった通信速度が、384kbps〜14Mbpsまで大幅に向上しました。
大容量のコンテンツを快適に楽しめるようになり、着うた配信サービスが流行しました。
また、初の国際標準の移動通信システムとして浸透し始め、日本の携帯電話が海外でも使用できるようになりました。
4Gとは、第4世代移動通信システム(4th Generation Mobile Communication System)の略で、3Gに続く国際電気通信連合 (ITU) が定める「IMT-Advanced」規格に準拠する無線通信システムのことです。
2010年代になると、さらなる高速通信への需要が増し、通信速度は384kbps〜14Mbpsから50Mbps〜1Gbpsへと、大幅に向上しました。
通信速度が飛躍的に向上したことで、快適なインターネット利用はもちろん、モバイルゲームや動画など大容量のデータを扱うコンテンツが携帯電話で楽しめるようになりました。
また4G LTE(3Gの後に生まれたモバイルデバイス専用の通信規格)の登場も注目が集まりました。
ここからは5Gの特徴・メリットについて解説します。
5Gの1つ目の特徴は、高速・大容量です。
国際電気通信連合による最大通信速度の目標値は20Gbpsに設定されました。
これは、4Gの約100倍の速さで、例えば、2時間の動画を3秒でダウンロードすることが可能です。
もし、この高速大容量通信が実用化すると、4K・8Kなど高精細な動画のライブ配信や在宅医療、AI解析による高精度の警備システムなどの実用化が期待できます。
5Gの2つ目の特徴は、高信頼・低遅延通信です。
国際電気通信連合による伝送遅延の目標値は1msに設定されました。
これは、4Gの約10分の1に改善されることになります。
高信頼・低遅延通信が実用化すると、例えば自動運転のようなリアルタイムで安全性が求められるものに活用できますし、ロボットの遠隔制御や遠隔医療などの遠隔操作の分野においても効果が期待できるでしょう。
5Gの3つ目の特徴は、多数同時接続です。
国際電気通信連合による同時接続の目標値は100万デバイス/㎢に設定されました。
これは、4Gの約10倍のデバイスが接続可能です。
多数同時接続が実用化すると、例えば、倉庫に保管された多数の物品の位置・中身の把握や災害時に大勢の避難者にウェアラブル端末を着けて健康状態を遠隔で確認できるようになります。
|
通信速度 |
伝送遅延 |
同時接続数 |
---|---|---|---|
4G |
1Gbps |
10ms |
10万デバイス/㎢ |
5G |
20Gbps |
1ms |
100万デバイス/㎢ |
ここでは、5Gのデメリットについて3点解説します。
5Gの通信規格は「5Gに対応している端末または関連機器」でしか利用できません。
そのため、ビジネスに活用する場合は5Gに対応した通信機器やデバイスに全て買い換える必要があります。
また、5Gを使ったサービスを導入する際も5Gを含むネットワークやセキュリティに関する専門知識を保有したエンジニアが必要です。
2022年8月現在、いつでもどこでも5Gが利用できるわけではありません。
その理由は、日本全国に5G回線が普及しておらず、利用できるエリアやスポットが限られているからです。
例えば、SoftBankの5G対応エリアを東京都で確認してみましょう。
(参照:https://www.softbank.jp/mobile/network/area/map/)
画像を見ると、主要都市部は普及しているように見えますが、全体的に見ると対応エリアが狭いことがわかります。
また全国的に見てみても、対応エリアはまだ少ないことがわかります。
(参照:https://www.softbank.jp/mobile/network/area/map/)
ネットワークのモバイル化が進み、さらにIoTによってネットワークに接続する機器が多様化すれば、これまでのシステムでは対応しきれない、新たなセキュリティリスクが発生することが予測できす。
例えば以下のようなリスクが考えられます。
・サイバー攻撃の標的が増える
・トラフィックの増加で盗まれる情報が増える
・IoT機器の不十分なセキュリティ対策のせいで、トラブルが頻発する
万が一、収集したデータや個人情報などが漏洩すれば、5Gの高速通信力が裏目となり、凄まじいスピードで情報が流れてしまうため、被害を被ることは避けられないでしょう。
ここでは、5Gで実現できることについて5点解説します。
5Gを活用すれば、「多数同時接続」が可能です。
それにより、IoT化が加速するでしょう。
IoTとは、家電や工場機械など「モノ」にインターネットを繋ぎ、データ通信や遠隔操作を行う技術です。
例えば、以下のような仕組みの実用化が期待されています。
事例 |
概要 |
スマートファクトリー |
工場機器に設置したセンサーが稼働状況データを取得することで、故障検知や生産の最適化を図る |
インフラ |
遠隔で水位を測定して防災に役立てたり、信号機や道路に設置したカメラの映像を用いて自動運転車両の遠隔監視などを実現 |
農業 |
農機具を遠隔から操作することによる省人化やセンサーで農作物の状態をチェック・AI分析することで、害虫予防や生産の最適化を図る |
5Gの「高速大容量」や「高信頼・低遅延通信」を活用すれば、遠隔技術をさまざまな業界で実用化することができます。
特に医療分野では「遠隔手術支援技術」が発展し、将来的には、遠方の医師が遠隔で機械を操作した「遠隔手術」の実用化が期待できるでしょう。
また工事現場や災害復旧現場でも、機械操作による不慮の事故を遠隔操作技術で防ぎ、安全な施工の実現が期待されています。
5Gの「高信頼・低遅延通信」技術が活用できれば、本格的な遠隔操作による自動運転が可能になるでしょう。
4Gによる車の遠隔操作では通信速度の遅延によるタイムラグが大きいため、一般的な走行速度でも運用は難しいと言われているのです。
しかし5Gの高速通信が導入されれば、一般的な走行速度での運用も可能です。
近い将来、遠隔操作による無人タクシーや無人トラックの実用化も期待できるかもしれません。
5Gは、働き方改革にも活用することができます。
「高速大容量」通信のおかげで、高画質・高精細なビデオ会議がいつでもどこでも行えたり、大容量のファイルをスムーズに共有したりできるため、在宅ワークやリモートワークが今後ますます普及するでしょう。
また日本にいながらインターネットを通じて、海外との交流が増えるためよりグローバルな文化が日本に広がるようになるでしょう。
VRやARを含む「XR」は、5Gの技術と掛け合わせることで、大幅なクオリティアップが期待されています。
VRとは、「Virtual Reality」の略で、仮想世界に新たな現実世界を創造する技術です。
ARとは、「Augmented Reality」の略で、現実世界を拡張させる技術です。
仮想世界と現実世界を融合させる画像処理技術は、現在でも様々な業界で活用されており、今後も普及していくことが予想されます。
【活用事例】
VR |
AR |
・VRゲーム |
・ARゲーム |
5Gを導入するには、電気通信事業法も大きく関わってきますが、他には基地局、陸上移動局、特定基地局などを設置する際に、電波法の手続きが関わってきます。
「特定基地局」とは、電波法で定められた、特定の周波数を使用する基地局のことで、総務省に認可されれば日本全国に設置することができます。
しかし、総務省に認可されなければ、設置することができないのです。
2019年、総務省は5G導入に向けた「特定基地局開設の申請」を受け付けました。
申請したのは、NTT docomo、KDDI、SoftBank、楽天モバイルの4社です。
各社が提出した5G導入後の計画案に基づき、3.7GHz/4.5GHz帯の6枠と28GHz帯の4枠を割り当てるための審査が行われました。
審査項目には、各社の開発計画に加えて、基盤展開率(日本全土を10km四方のメッシュに区切り、海上や無人地帯などを除いた区域に対して、5G専用周波数を使った基地局が設置されている範囲の割合)が新たに採用されました。
各通信メディアの獲得エリアは以下のようになっています。
通信メディア |
獲得エリア |
NTT docomo |
3.7GHz/4.5GHz帯を2枠と28GHz帯を1枠 |
KDDI(au) |
3.7GHz/4.5GHz帯を2枠と28GHz帯を1枠 |
SoftBank |
3.7GHz/4.5GHz帯は1枠と28GHz帯を1枠 |
楽天モバイル |
3.7GHz/4.5GHz帯を1枠と28GHz帯を1枠 |
(参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000613734.pdf)
詳細はこちらをご覧ください。
2022年現在、「移動通信システム」は、4Gから5Gへと移行中です。
しかし、実はさらにその先の「6G」実現に向けた研究や議論はすでに始まっています。
6Gとは、第6世代移動通信システム(6th Generation Mobile Communication System)の略で、5Gの次世代無線通信システムとして、2030年開始を目処に開発が進められています。
2020年代、5Gの実用化により、多くの社会課題の解決やニーズへの対応が実現することが予想できます。
例えば、少子高齢化や労働力不足等の社会課題に対する対応策として、テレワークや遠隔操作、遠隔医療、遠隔教育などです。
2030年代、6Gの実用化によりに、上記のような解決策のさらなる普及やより高度な対応が期待されています。
それは、いつでもどこでもリアルな体感で人や情報、物にアクセスできるようになるという時間や場所に関する制約の完全撤廃です。
社会格差や文化的格差を劇的に減らし、ストレスのないより良い世界の実現が期待されています。
ここでは、6Gに期待される機能について解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
6Gでは、100Gbps超える通信速度および5Gの100倍以上の超大容量化の実現が期待されています。
この数値は、もはや人間の脳の情報処理速度のレベルに近いと言っても過言ではありません。
単なる映像としての視覚・聴覚だけではなく,現実の五感による体感品質の情報伝送や感 覚のような拡張現実が実現できるとして大きな期待が寄せられています。
6Gでは、遅延(この場合の遅延とは、送信データを受信デバイスが受信するまでにかかる時間)を極限まで減らし、5Gの1/10の超低遅延を目指します。
これが実用化するとAIで遠隔制御される機器やロボットが、人間に近いまたは人間を超える機微さや動作を見せる世界がありえます。
例えば店舗無人化に設置されたシステムが、人声のニュアンスや表情を読み取り、人間の接客と同等以上で対応できるようになるのです。
また超低遅延通信はテレワークや遠隔操作、遠隔医療、遠隔教育などさまざまな業界・分野での応用も期待されています。
超カバレッジ拡張とは、現在地球上に存在する、電波が届かないために通信が不可能にな場所をなくしたり、電波の届く範囲を拡張し、通信可能エリアに育てることです。
6Gを活用すると、地球上だけではなく宇宙空間とも通信できるようになることが期待されています。
この技術が実用化すれば、例えばドローン宅配のような空飛ぶ宅配サービスや空飛ぶ車の実現、一般人でも行ける宇宙旅行など、活動環境の拡大とそれによる新規産業の創出が期待できるでしょう。
今回は、現在IT業界に従事している方(特にエンジニアの方)に向けて、「5G」について解説しました。
・5Gとは、第5世代移動通信システム(5th Generation Mobile Communication System)の略で、携帯電話などに用いられる次世代通信規格の5世代目という意味です。
・5Gまでの移動通信システムの歴史は以下の通り
1G:携帯電話の普及
2G:メール・インターネットの普及
3G:世界標準の高速通信の普及
4G:さらなる高速通信に特化
・5Gのメリットは以下の3点
①高速・大容量
②高信頼・低遅延通信
③多数同時接続
・5Gのデメリットは以下の3点
①5G対応のデバイスが必要
②通信エリアやスポットが狭い
③セキュリティリスクの増大
・5Gで実現できることは以下の5点
①IoT化の加速
②遠隔技術の活用
③自動運転の推進
④働き方改革の推進
⑤VR・AR体験
・6Gとは、第6世代移動通信システム(6th Generation Mobile Communication System)の略で、5Gの次世代無線通信システムとして開発が進められています。
・6Gに期待される機能
①超高速・大容量通信
②超低遅延
③超カバレッジ拡張
5Gの高速大容量や高信頼・低遅延通信、多数同時接続の3つの機能をかけ合わせることで、今日まで不可能だったことが実現できたり、さまざまな新種類の革新的イノベーションが現実になる未来が近づいています。
ビジネスや環境など、5Gは私たちの日常生活からは切り離せないものとなるでしょう。
競合他社に遅れを取らないためにも、今から5Gに関する基礎理解を深め、5Gを活用した新たなビジネス創出を検討してみてはいかがでしょうか。
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